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ノート:『武術とダンス』(7月スタジオショーイング)に向けて


昨年8月からスタジオで定期的に行ってきた「武術のワークショップ」を通じて
武術家の田代順さんに紹介いただいた武術の型や技を通じて、
「からだの使い方や感覚」について新しい発見があり、
からだの面白さや不思議を、ダンスとはまた違った視点から感じることができました。

そのなかで、今回の7月ショーイングの振付を考えるに当たり注目した点は、
主に以下の3つです。

1) 「手」の効用
2) からだの崩れ
3) 間合い

この3つについて、すこし詳しく紹介してみたいと思います。
いつものダンスとはまた違う視点から、からだとその動きを見るきっかけになれば幸いです。

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1) 「手」の効用

まず今回、武術の動きを通じてあらためてその重要性を感じたのは「手」の効用です。
武術のワークのなかで、相手のからだを動かすための手の使い方、
重さや力の方向を効果的に伝えるかけ方について、
「技」や「型」を通じて教えてもらったのですが、
そこで「生きた手にする」という言葉がでてきました。

ダンスの表現においても「手」が繊細な表現をすることができる部分だという
意識はありましたが、手のあり方ひとつでからだ全体に影響があると
実感できたことが、とても新鮮な印象として残っています。


2) からだの崩れ

次にあるのは、武術の技をかけられたときの「からだが崩れる」ときの感覚です。
技をかけられたときは、自分の意思とは関係なくからだが動き(崩れ)、
一瞬、自分とからだが切り離されるような、不思議な感覚になります。
「他者としての自分のからだ」を感じる瞬間、というか。
そこから、自分で動こうとして動くときとは質の違う動きが生まれてくる。

スタジオで行っているリリースやコンテンポラリーダンスのクラスでも、
自分で動きを考えるのではなく、からだの揺れや感覚についていくことで
「からだが自然と動いていく」ことを大切にしています。
それは、自分の意思とは別に、重力との間でゆれ動いているからだを感じ、
その動きについていく感覚です。

自分と「他者としての自分のからだ」の間に起こっているやりとりを知ることで、
新たな動きが生まれる可能性を、武術の技による「からだの崩れ」から
感じることができました。


3) 間合い

3つ目は、相手との距離感から生まれる「間合い」の質についてです。

例えば、向かってくる相手に対して逃げるのではなく、相手に近づいて中にはいる動き。
ここからは、スタジオで定期クラスを行っている「コンタクト・インプロビゼーション
(合気道の技が取り入れられ発展したダンスのスタイル)」にも通じる、
協力/協調関係によって相手を操作する動きを見て取ることできます。

と同時に、そこには「武術はすべて能動である」という考え方があります。
この考えによって、「受けている」という受動的な感覚も
「引き入れている」という能動的な感覚に置き換わり、
「間合い」から生まれる動きの質が変わってきます。

このことは、武術とコンタクト・インプロビゼーションにつながりを感じる一方で、
明確な違いもあるということを意識する、きっかけになりました。



今回の7月ショーイングでは、スタジオで行ってきた「武術のワークショップ」で体験した
武術の型や技から考えた、動きや振付によるパフォーマンスを行います。

いつものダンスとはまた違う、「からだの使い方や感覚」を見てもらえればと思っています。
どなたでも参加可能ですので、興味を持ったらぜひ、気軽に参加してみてください。

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7月スタジオショーイング 『武術とダンス』

日時: 7/25(土) 17時、26(日) 15時

料金: 前売 1000円 / 当日 1200円

出演: 佐久間瑞穂  福田寛之 / 田代順(武術家)  永井美里  上本竜平

【予約フォーム】
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