AAPA公演『足跡』、無事に終えることができました。
ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。
今回もたくさんのことを学ばせて頂きました。
久しぶりの野外という環境で踊り、1回1回が新鮮でした。
違う音・光・温度・空気。昼と夜ではまったく空気が違う。毎回、お客さんがどういう風に座るのかも違う。
やってみてわかることもたくさんありました。
今回のメンバーははじめてAAPAに参加してくれていたり、
別々のジャンルで活動している方たちだったので、
お客さんも本当に様々な方がみにきてくださいました。
それがとてもよかったなと思います。
会場入りしてから、本番までいろいろとあったのですが、
あらためて一人一人と向かい合って考えをなげかけることで、
自分にとって大切にしたいものが何なのか、
答えがでていないのはどこなのか、
すくなくとも今の時点で自分の主張・気持ちはどこにあるのか、
はっきりわかることができました。
自分がなぜコンテンポラリーダンスということを始めたのかも、
ようやくわかってきました。
今回『足跡』というタイトルで、子どもの頃すんでいた場所をめぐりながらインタビュー(おしゃべり)をうけたりしました。
たわいない会話のなかに、自分の奥につながっているものが見え隠れしていました。
そこに気づくのはとても痛いことでもありました。それこそ土足で踏み込まれた感がありました。
でもだからこそ、そこから動きだせたのだと思います。
それはとても小さな変化かもしれない。
でも、確実に自分の意識をかえたと思います。
次の自身の創作では、もう少しここに向き合って、自分の言葉をみつけていきたいと思う。
今回の公演では自分とは離れていた場所に「立ち入ってしまった」と感じたときの感覚から、
創作をスタートしました。
このことについて本番を通じても気づいたことがありました。
きっと、私も気づかないうちに人の領域に踏み込んでしまっているのかもしれない。
何もしらないというのは怖いことでもあるし、とても可能性のあることだとも思いました。
わからないからこそ、できることもある。
踏み込んだり、踏み込まれたりすることで、変わっていくことができる。
自分がいる場所について違和感をもつとき、そこにいるのか、そこを離れるのか、人ははじめてかんがえる。
そういう「揺らぎ」が大切な気がしました。
下に当日パンフレットにのせられていたAAPAの上本の言葉を紹介します。
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■AAPA『足跡』(黄金町tracks) / 演出ノート
活動を開始した2004年より、AAPAは横浜の様々な場所で、劇場外での舞台公演を
させてもらってきました。山下公園、日本大通りにあるビルの屋上や地下、山手の洋館、
桜木町の旧東横線駅舎、湾岸の倉庫など、どの場所も風景/空間がおもしろくて、
それを刺激に舞台をつくってきた記憶があります。
そして今回の会場がある日ノ出町・黄金町エリアでは、去年の春、京急線高架下にある
「日ノ出スタジオ」の2階部分(屋外回廊)を使わせてもらうことができ、大岡川沿いの
桜を背にした舞台を、上演することができました。今回の公演の、1年半前のことです。
その間、AAPAは神戸、つくば、鳥取、福岡、伊丹、東京、岡山と、様々な場所で公演を
行ってきたのですが、国内各地をまわる中で、あらためて考えるところがありました。
今まで一度も訪れたことがない場所を使わせてもらい、舞台作品の創作・上演を行うときに
いつも頭の奥深くに薄くある、なんとなく「所在ない」感じ。
自分とは遠く離れた場所に、足を踏み込んでしまった感覚。
言ってしまえば、土足であがりこんでしまった、というような。
馴れ親しんできた横浜に戻ってきて、今回、日ノ出町・黄金町エリアで1年半ぶりに
公演を行うことになったときも、この感覚が薄くあって、それが印象に残っていました。
今回の舞台『足跡』は、そういった感覚を頭に浮かべながら考えていた、これまでの
自分を思い出していくことの先にあるもの、それを未来とか希望とか言ったりすること
について、旅と日常の結び目をたどるように、構成していった作品です。
AAPAの舞台は、空間美術、ダンス、音響、言葉、映像などが混ざりあった形をして
いますが、特に決まったジャンルもなく、ひとつの全体として感じてもらえればと
思っています。
今回も劇場ではない場所での公演なので、舞台の外側の空間から様々な現実が入り込んで
くることと思いますが、それも含めて、ひとつの舞台として体験してみてください。
そして、会場として使わせていただいた「かいだん広場」は、様々なひとが通り・集まる
場所として、黄金町の街にこの先も残り続けていく場所なので、いつの日か機会がある
ときに「普段のかいだん広場」を訪れてみるのも、楽しいと思います。
今回の公演は、NPO黄金町エリアマネジメントセンター事務局長の、山野真悟さんに
お話しをいただいたことで、実現することができました。最後になりましたが、お世話に
なりましたNPOスタッフの皆様、黄金町の方々に、あらためて感謝を申し上げます。
上本竜平 / AAPA