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会場での稽古。『その場所で踊る』ということ。

今週の火曜日、水曜日は数時間ずつでしたが、BankARTの会場でリハーサルをしました。

稽古場でつくっていたものを、その空間でやってみると、いろいろとかわってくる。特に今回は川俣正さんの作品が会場にあるので、その存在がとても大きい。それと、床がコンクリートであるということも。よくよく考えてみれば、床についてはわかっていたのに、なぜもっと考えていかなかったのかと反省。コンクリートの床はザラザラ、ボコボコしていて、いつもの稽古場のように滑らない。振付をかえるのか、床に何か敷くのか、、、。会場がつかえるのは、あと3回しかないので、焦ってしまう。そんな場所とのズレから、火曜日は少し苛立ちさえ感じた。でも、あの場所で踊るということをもっと大切にしようと思いなおして、水曜日のリハーサルに向かうと、少しからだが空間になじんでくる。

同じコンクリートの床でも場所によってかなり違うことにも気づく。ツルツルしているところもあれば、ザラザラしたとこもある。それもふまえて、自分の動きを組み立てなおしてみたり、動きをすこし変えてみたりしました。ジャグラーのあきらくんが、ボールを床にはずませて動いていると、場所によって響きが違うことがわかる。とても音が響くところがあって、きっと下が空洞になっているのかも、とパーカッションのマメちゃんがいっていて、面白いなーと思う。このコンクリートの下にまた違う空間がひろがってる。

劇場でないところで、公演をしていると、なんでそういう場所でやるの?と聞かれることや、そう思われているんだろうなと感じることがある。ある人からは、面白いね、という気持ちを感じるし、ある人からはなんでそんな環境でやるの、という否定的な気持ちを感じることもある。

コンクリートだけでなくて、ゴツゴツした岩の空池で踊ったりもしたし、ふわふわの土の上で踊ったりもした。劇場外で公演をすると、稽古場でのダンスは、会場である意味、崩れていく。でも、それが面白くもある。

なんで、劇場でやらないの?の答えの一つは、自分達が創作したり活動できる場所を探して、続けてきた結果そうなっていたというところがあると感じます。劇場やスタジオをかりるのは高いし、そういう場所でしか踊れないとなったら、踊りを続けていくのが難しくなってしまう。こういう場所でしか踊れないと思うより、そこからひろがる可能性を見つめたほうが、わくわくする。

どこでだって踊れるし、それはとても面白いこと。自分たちのまわりに面白い場所がいっぱいあるし、その場所にいくと、必ずそこで過ごしている人や過ごしてきた人がいる。創作活動をしていると、その場所とそこにいる人を感じる。自分が踊れる場所、創作できる場所で活動を続けてきたことで、今はそのことに意義があると感じるようになりました。

自分が立っている場所をあらためて感じることもできる。こんなに固いものの上に立っているんだなとか、土はこんなに柔らかいんだなとか、その場所の歴史を感じたりとか。いろんなことを想像する。それってとても豊かなことだなと思う。踊ることや創ることが、選ばれた人のための、選ばれた日だけのものではなくて、もっと自由に広がっていってほしいと思う。

稽古場での作品づくりにはいると、忘れてしまいがちだけど、この場所で踊るということを楽しめるように、準備していきたいなと思う。

写真はパーカッションのマメちゃんが楽器を準備しているところ。楽器も使うけど、いつもいろんなモノで音をだして、楽しませてくれます。今回は植木鉢をもってきていました!まだいろいろ考えているみたい。楽しみです。




こちらはジャグリングのあきらくん。




2日間の現場稽古を終えて、明日からまた稽古です。良いものが生まれるよう、頑張ります。