ちょっと時間はずれてしまったけれど、鈴木さんのアトリエにいったと日のメモ。
6月24日
鈴木省三さんのアトリエに行き、お会いする。
拝島駅で、企画の宮田徹也さんとAAPAの上本竜平と待ち合わせ。
鈴木さんが車でむかえにきてくださり、自宅のアトリエへ。
玄関にはいると一人ずつはいってきて、と鈴木さんに言われて、私から部屋にはいっていきました。
目の前に一枚壁にかけられた大きな絵。その下にふつうの用紙サイズの紙に書かれた絵が何枚も列にならべてありました。部屋にはたくさんの過去の作品。大きなものも、小さなものも。
しばらく自分でその絵を見る時間をいただいて、全員がみたあとで、
下に並べた絵の列は今日私たちを迎えるために考えたパフォーマンスだと話してくださいました。普段はそういうことはしないけど、みんなが来るから、何かできないかと考えてくださったそうで、その時の鈴木さんの印象が強く残っている。素敵な人だなと、その時思いました。
それからいろいろお話をしました。絵の事、彼がみた大野一雄さんや笠井叡さんのお話、美術界のお話、日々思うことなど。私からもいろいろお話できて、とても良い時間をいただきました。
彼の絵、創作場所、そしてエピソードをうけて、その時に考えたことや印象にのこったこと。
その日壁にかけられてあった絵は、青い線が曲線を描いて、白いキャンバスの中で浮遊しているようなイメージと、その上に絵の中心に黒のラインが確かな存在感で立っていて、青の曲線の中を舞うようにいくつかピンクの点が書いてありました。
鈴木さんが「地と図」の話をしてくれたり、ある場所に焦点をあてると、ある部分が浮き上がって、他の物が背景になったり、それをずらずとその絵の中にある距離感がかわってくるということを説明してくれました。そう見ていくと、ずっと見続けてしまう。絵の中にある奥行き。
だんだんとそこにある黒の存在が気になるようになって、鈴木さんにきいた。
過去の作品をみせてくれた。そこに黒はなくて、まるで幻想の世界だった。とてもきれいで、淡い色の世界。浮遊感。
それからその後の作品(911があったあとの作品になるそう)では鮮やかな色が黒でおおわれている作品だった。黒の隙間にみえるピンクのかけらが印象にのこっている。
そういう作品を描いていたころから、今の作品をもう一度みてみる。
黒はあるけど、それは以前の黒とは違くて、黒と他の色彩の配分も違う。
この黒にむきあうこと、その向こうにある色が問いかけること。
そこを見つめることに、何かヒントがある気がする。